1. 一般の方へ

立花隆氏と東大立花ゼミの方々が平成18年2月14日、引っ越して間もない私たちのラボに取材に訪れました。私たちの研究の手法、方向や雰囲気を一般の方に紹介する短い記事が、彼らの科学情報総合サイト「サイ」に掲載されています。

《サイ 掲載記事から抜粋》

「ニ光子励起顕微鏡(組織の内部に焦点をあてて蛍光物質を発光させることで、組織の内部を見ることができる)という独特の方法を用いて、これまで世界で誰も見たことがなかった脳細胞の内部のダイナミックな変化をとらえています。

フェムト秒レーザー(十兆分の一秒)という極超短時間だけ発光するレーザーをピンポイントに照射することで、生体を傷つけることなく脳細胞内部の微細な変化をとらえています。

それによって、脳の高次機能の最大の秘密が、神経細胞 (ニューロン)のシナプスのスパインと呼ばれる部分にあることを示します。

それによって、大脳に100兆個もあるスパインの一つ一つが個別のメモリとして機能しているということがわかってきました。これは驚きです。人間はみな、脳の中に10テラバイトのメモリを持っているということになります。

くり返し刺激があると、スパインの頭部は大きくなり、神経伝達物質の受容体がふえ、感受性も増大するということがわかってきました。これが記憶の素過程の物質レベル、形態レベルの変化ではないかと考えられ、そうだとすると、脳の最大の謎であった脳の高次機能はいかにして発現するかという秘密がいよいよ解き明かされるところにきているということなのかもしれません。」